沖電気のITS利用位置情報システム 歩行者もDSRC端末を持って歩かないといけなくなる?

ITS利用も現実的な技術が開発されつつある。
今回沖電気工業が発表したのは「次世代ITS路側インフラ無線技術」という技術でDSRC端末の位置を高精度で特定する事ができるシステムとなっている。
車とインフラ間の通信を介して歩行者や対向車の情報を事前に車両に通知する事でよい高精度な安全が確保できるという事なのだ。

ITSでの課題はなんだ?

ITSを利用する上で単純にインフラである道路側の設備と車両と2つに絞って考えてみる。
すると道路側設備に車両が近づいてきたというトリガーが必要だ。
通常はDSRC車載端末と道路側設備間での通信が始まる事により車両位置をおおむね特定する。
このおおむねと言うのがキモなのだ。
この位置精度が低いと実際の車両が走っているポイントとシステムが把握しているポイントにずれが生じる。
このずれがどの程度の範囲なのか?というところが大いに安全性に関係する。
この位置精度を上げて行くというのがITSの課題の一つであることは間違いない。

沖電気のITS利用位置情報システムは後付できるのがミソ

複数のポイントで電波を拾って電界強度より位置を特定するやりかたは無線では良くやる方法だ。
GPSが普及してなかった時代には携帯端末の位置を特定するのに携帯電話基地局を複数使って位置を特定していた。

今回のシステムはこれと似た方法で到来方向推定アンテナを複数増設する。
複数の到来方向推定アンテナでDSRC端末からの電波を受けて演算する。
到来方向推定アンテナは8素子のアレイ構造(アンテナが8個あると考えれば良い)になっている。
個々の素子が電波を受信するとその時間差が生じてどの方向から電波が飛んできたのかを推定する。
これを複数の到来方向推定アンテナで処理し1メートルの位置精度を実現している。

管理人TomTomが着目するのはこのシステムは既存のDSRC通信のインフラに後付できるようになっている。
すでにDSRCはETC等で非常に普及した設備なのだ。
これを考慮した構成となっているのがミソだろう。

沖電気工業のDSRC後付できる位置情報検出システム
↑ 沖電気工業のDSRC後付できる位置情報検出システム、既存のDSRCシステムに後付できるところが特徴だろう、ただ設備的には結構大層だ、DSRC端末の位置を検出できるのだが人間を位置把握しようとすればDSRC端末を人間が持たなくてはならない、これでは普及が苦しいだろう、画像はメーカーサイトより拝借

人間の位置特定はどうやるんだろう?

沖電気のITS利用位置情報システムは基本的にDSRC端末の位置を特定するという仕組みだ。
車両はETC端末のようなモノを積んでおれば良い。
しかし人間はどうするのだろうか?
携帯用のDSRC端末を作って持たせるという事しか現在は想定できないが現実的には難しい問題だ。

人間の位置特定は結構歴史があり試行錯誤が行われてきた。
携帯する事から電池利用での制約もあるし小型軽量でなくてはいけない。
古くはPHS端末利用によるモノや、現在では携帯電話応用のGPS利用によるモノもある。

こうした交通インフラに組み込む人間の位置特定システムであればこうした携帯型はそぐわないだろう。
法律で携行を義務化するとかという事をしないと普及は難しそうだ。
やはりITSインフラ側での動体センシング等での情報収集が主流になるのではないだろうか。

今回の沖電気のITS利用位置情報システムは車両の位置情報精度を上げるには有効な手段だが人間の位置を把握するという意味ではいまいち弱い。
今後の研究に期待したい。

今回はこのへんで
では