スロットルコントローラーと右足との関係、オッサン的感覚

今回はスロットルコントローラー(スロコン)に対して感じていることを書いてみた。
最近の車はほとんど電子制御スロットル(電スロ)、つまりアクセルバイワイヤと呼ばれるポテンショメーターを利用した角度や変位を測定するデバイスを使用して機械的なアクセルペダルをシュミレートしたものになっている。

電スロの発達

電子式の燃料噴射装置が導入当時は昔ながらのワイヤーを引っ張る形式のアクセルペダルだったがポテンショメーターが進化して使えるようになったという訳だ。
この電スロは様々なメリットがある。

まずワイヤーを引き回さなくても良いのでアクセルペダルが重すぎたり軽すぎたりという事が無く自由に設定可能だ。
次にアクセルペダルを踏む量と実際のエンジン回転数の関係を自由に設定できる。

ここが今回の1つ目のポイントだ。

電スロの功罪

電スロはアクセルの踏み具合の味付けが自由にできるのだが、本当にガバっと踏んだ際の爆発的なレスポンスは機械式のキャブレターに一歩譲ると言われてきた。
我々オッサン世代には珍しくないのだがこのキャブレターというのがそれはそれで優れものだったのだ。
例えばソレックスやウェーバーというキャブレターが代表格だ。
それにSUキャブレターというものあった。

これらは加速ポンプという仕組みを備えていてガバっとアクセルペダルを踏んだ際にガソリンをドバっと噴出させて一時的に空燃比を濃くしてエンジンレスポンスを向上させる仕組みだ。
このガバっとアクセルペダルを踏んだ際の爆発力ときたら体感的には結構なもので燃料噴射装置ではなかなか表現できないと言われたものだ。
アクセルペダルを踏んだ時のツキのレスポンスが良かったという訳なのだ。

これに対して電スロはこうしたガバっとアクセルペダルを踏んだ際のツキが悪くオッサン達には評判が悪かった。
このツキという奴が2つ目のポイントだ。

これがソレックスキャブレター、ファンネル装着状態、ガバっとアクセルを開けた時のツキはピカイチだった、加速ポンプが働くと気持のよい加速ができた、画像はネット上から拝借
これがソレックスキャブレター、ファンネル装着状態、ガバっとアクセルを開けた時のツキはピカイチだった、加速ポンプが働くと気持のよい加速ができた、画像はネット上から拝借

 

アクセルのツキとエンジン回転数の上がり方は異なる

これまで説明したようにアクセルのツキとアクセルペダルを踏んだ際のエンジン回転数の上がり方は異なるモノだ。
スロコンはアクセルペダルを踏んだ際のエンジン回転数の上がり方をいくつかのパターンで制御するものだ。
つまりガバっと踏んだ際のツキに関しては無関係である。
これは主に電子燃料噴射装置のマッピングで解決すべきことなのだ。

車はその作られた年代の背景に応じてアクセスペダルの味付けが異なる。
例えば燃費に厳しい時代ではアクセル開度に対してのエンジン回転数の上がり方がマイルドなのだ。
一方反対に燃費志向とは反対に信号ダッシュ志向の時代なら少しのアクセル開度に対してエンジンの回転が急激に上がるようにセッティングしてある。
つまりアクセルの味付けは面白い事に時代を反映しているという事なのだ。

2TG:トヨタの1.6LのDOHCエンジンの名器、左はTE47に積まれていた純正ソレックスキャブレター付きの2TG、右はそのすぐ後にEFI化された2TGでパンチが無くなってしまった、画像はネット上から拝借
2TG:トヨタの1.6LのDOHCエンジンの名器、左はTE47に積まれていた純正ソレックスキャブレター付きの2TG、右はそのすぐ後にEFI化された2TGでパンチが無くなってしまった、画像はネット上から拝借

 

アクセルの踏み方ってどうなん?

アクセルペダルの踏み方ってどうすれば良いのかを考えたことがあるだろうか。
まず床までベッタリと深く踏んだことが何度あるだろうか。

ある程度パワーのある車なら床までベッタリと踏む必要も無いのでこうした踏み方をしたことが無い方が多いのではないだろうか。
街中では多くてもせいぜいアクセルペダルのストロークの半分くらい、ヘタすれば1/3くらいしか使っていないと思う。
それがパワーの無い車なんかでは上り坂でベッタリ踏んでも登らないということもある。

モータースポーツやサーキット走行ではこういったアクセルペダル全開の場合が多々ある。
こうしたアクセルペダルのストロークをフルに利用してドライビングしなければならない時に、アクセルペダルとエンジン回転数のリニアさが求められるのだ。
どれくらいアクセルペダルを踏んだらどれくらいエンジンが回ろうとするのかを体というか右足に叩き込む必要がある。
というのはハーフスロットルで車をコントロールしなければならないことが普通なのでアクセルペダルの操作は非常にシビアな事なのだ。
これはアクセルを開く際と閉じる際の両方に言えることだ。
スロコンで急激に立ち上がる設定をしてもそれはエンジン性能が良くなったわけでもなくレスポンスが改善されたわけでもなく速いわけでもないということは分かっていただけたであろうか。

スロコンは邪魔なのだが特性を固定して使えば良いのだ

一言で言ってスロコンの類のデバイスは邪魔なのだ。
誤解をしてほしくないのはアクセル開度に対してのエンジン回転数の上がり方を一定にすること、それを右足に覚えこませるということなのだ。
スロコンを使って今日はこの設定を使う、明日は別の設定を使うということをしないで足を慣らすことが必要だと考える。

ノーマル車のアクセル特性が気に入らない時はスロコンで好みの特性にセットしてこれを固定して使用すればよいのだ。
そしてそのアクセルペダルの踏込具合を右足に覚えこませるのだ。
こうした使い方であるならばスロコンは特性を簡単に安く変更できて便利なものだ。

ここを間違ってはいけない。
特にオッサンは年々衰える運動能力のためセッティングを頻繁に変えては体が付いて行かない。
少々悲しいがこれが現実なのだ。

 

今回はこのへんで
では