今回のプジョー「208 PureTech」の改良は一歩前進と一歩後退

2014年1月6日にプジョー「208」は新しいエンジンと新しいミッションを搭載して販売を開始した。

PSAグループの世界戦略車プジョー「208」

↑ プジョー「208」の外観、今回の変更では外観は変更が無いが良くまとまったデザインだと思う、少々グリル部分が分厚く重い印象がある、画像はメーカーサイトより拝借

 

プジョー「208」の今回の変更はダウンサイジングだがターボ無し

その内容はエンジンをダウンサイジングして1.6Lから1.2Lに換装、このエンジンはターボではなくてNAだ。さらにこのエンジンにアイドリングストップを組み合わせる。ここまでは正常進化だと思うのだ。

↑ プジョー「208」の新エンジン、1.2LのNAで82psのスペックで平凡、アイドリングストップが付いて燃費は少しマシな数字になっている、ライバルはターボが付いて同じレベルの数値なので非常に見劣りがする、画像はメーカーサイトより拝借

プジョー「208」シングルクラッチATの採用が??

日本におけるプジョー・シトロエンの弱点はトランスミッションだ。未だにATは4ATだったりするので他メーカーに比較して遅れている印象はぬぐえない。
今回の改良でここに手を入れたという訳だ。
しかしその内容が面白いと言うかお茶濁し的な内容となっている。というのはこのETG5と呼ばれる今回のミッションは今時流行のダブルクラッチではなくシングルクラッチの5速自動変速となっているのだ。

詳細なことは不明だがこのシングルクラッチのミッション、昔シトロエンがC2やC3で採用していたセンソドライブと呼ばれるミッションの焼き直しではないのだろうか。
私も一時期シトロエンのC2に乗っていたのでその感触は理解している。センソドライブは俗に言うロボタイズドミッションで、MTをベースにクラッチ操作を電子制御する。発進時の半クラッチ操作を行い、シフトアップやシフトダウン時の回転合わせも行う(シフトダウン時にはちゃんとブリッピングをする)。
動作はマニュアルモード(たぶんこちらがデフォルト)と自動モードがある。マニュアルモードはドライバー自身がパドルやシフトレバーでシーケンシャルに変速を行うことができる。一方自動モードでは変速はミッション任せとなる、この時の制御が当時まだまだ不出来で低速ではギクシャクし、特に1速から2速への変速時にはガクっと減速感があり、自動モードにもかかわらずうまく変速するには微妙なアクセル操作が必要でドライバーにスキルを求めた。
同様なミッションは他にアルファロメオのセレスピードやフィアットのデュアロジック等がある。いずれにしても現在においてはシングルクラッチのミッションは時代遅れな存在になりつつある。例えば直接のライバルであるルノークリオ(日本ではルーテシア)を見てみると、1.2Lターボエンジンにダブルクラッチのトランスミッションとなっていて格段に見劣りがする。

↑ プジョー「208」のステアリング画像、ステアリング自体の直径が小さくなったらしい、今回の改良でシングルクラッチのミッションETG5となりステアリングにもパドルが付く、個人的には同じグループであるシトロエンの少し前に使っていたセンソドライブと呼ばれていたシングルクラッチのミッションを持ち込んだのではないかと想像している、画像はメーカーサイトより拝借

プジョー「208」の燃費にも??

燃費についてもおおいに期待外れだ。
NAでパワーが低いにもかかわらずJC08モードで19.4km/L(1.2LのNAで82ps)となっている。ちなみに直接ライバルのルノークリオ(日本ではルーテシア)は不思議なことに日本では燃費が未発表だがヨーロッパでは(CLIO 120EDCで比較、1.2Lターボで120ps)ユーロCombindモードで約19.23km/Lとなっている。パワーとの比較をすれば明らかに燃費は劣る。

↑ プジョー「208」のインパネ画像、非常にステアリングの直径が小さいのが見て取れる、208は元々ステアリングの上からメーターを見るコンセプトなのでこういったメーターとステアリングの位置関係になる、ナビの位置は非常に操作しやすい良い位置にある、反面エアコンのコントロール類は非常に低い位置になり操作しにくそうだ、画像はメーカーサイトより拝借

プジョーにはもっと奮起を期待

最近のプジョーのコンパクトカーにはもう少し奮起をしてもらいたい。
マスターバックはヨーロッパ仕様のままでドライバー側に無い。今回の改良でアイドリングストップは導入されたが未だにミッションは旧態依然の状態だ。エンジンも今回ダウンサイジングというが明らかにスペックダウンだ(ダウンサイジングは同じ条件で排気量を小さくすることだと理解している)。
なんだか全てがチグハグな感じがするし、このようなお茶濁しで満足するほど日本のユーザーは甘くないと思うのだ。

今日はこのへんで
では