シフトダウンにヒールアンドトーは必要なのか、オッサン的感覚

    2015/11/21

果たしてシフトダウン時にヒールアンドトーは必要なのかを考えてみる。

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若い頃見たアリ・バタネンのドライビングが忘れられん

ラリー現役のころイメージトレーニングとして当時まだ珍しかったインカービデオを入手して朝から晩まで見ていたものだ。
その中で非常に印象的だったのがアリ・バタネンのドライビングだった。うる覚えで申し訳ないのだが出てくる車はオペルマンタだったと思う。狭い道を全開でブッ飛んでいくインカーからの映像だ。そこでシフトタイミングやらその操作スピードやらを見てイメージトレーニングした。
その時に気が付いたのだがコーナー手前でヒールアンドトーでシフトダウンしてコーナー途中からアクセルオンするものと思い込んでいた。しかし映像は違ったのだ。
どう違うかというと減速時にシフトダウンしないのだ。
これどういうことなんだろうと3日3晩悩んだものだ。

アリ・バタネン操るオペルマンタ、1980年代の初め頃だったはず、もうキレキレのドライビングが凄かった、インカー映像を何度も見てはイメージトレーニングしたものだ、画像はネット上から拝借

アリ・バタネン操るオペルマンタ、1980年代の初め頃だったはず、もうキレキレのドライビングが凄かった、インカー映像を何度も見てはイメージトレーニングしたものだ、画像はネット上から拝借

 

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結論!シフトダウンは減速のためにあるのではない

そのアリ・バタネンのドライビングを見ていると減速はブレーキだけなのだ。
この時気が付いた、このオペルマンタは凄く強力なブレーキなのだ。当時の私にはシフトダウンはブレーキングの働きもあると思い込んでいたのが覆された瞬間だった。
教習所でも下り坂はエンジンブレーキを効かせなさいと教えられて刷り込みが出来上がっているのだ。そう、基本としては減速はブレーキのみで行うのが理想的なのだ。
ドライビングスタイルの問題もあるのだが、コーナーに入るのに十分なだけ減速したらそこでシフトダウン。
この時アリ・バタネンはヒールアンドトーなんぞしていなかったのだ。いや、する必要がなかったのだ。
ブレーキを離してからのシフトダウンで十分なのだ。
そしてブレーキングのためにシフトダウンはあるのではないのだ。

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ではどういう時にヒールアンドトーを使うのか

上記の通りブレーキングはブレーキで減速するのが原則なのだ。
ここを間違えてはいけない。
そしてコーナー途中で車の挙動をアクセルコントロールで制御すべく適正なギアに変更するというのが実態なのだ。
このコーナー途中のアクセルコントロールをなるべく早い段階で行おうとするためにヒールアンドトーを用いるという事なのだ。したがってこのネーミングが間違っていると思う、正しくは「トーアンドヒール」が正解だ。ブレーキングが主体なのだからこの順番で良いのだ。
「トーアンドヒール」のトーの部分はもちろんブレーキングでありこの動作の主役。
そしてヒールの部分は何をしているのだろう。
もちろんアクセルをあおっているのだがこれは何のために行っているのか分かっているだろうか。このアクセルをあおることをブリッピングという言い方をする。

ヒールアンドトォ~時の足の配置図、右足のつま先でブレーキを操作しつつ踵でアクセルをあおる動作をする、左足はもちろんクラッチ操作を行い、左手はシフトレバーをガチャガチャ動かす、これだけの操作をスムーズに素早く行えるまでに練習あるのみ、画像はネット上から拝借

ヒールアンドトー時の足の配置図、右足のつま先でブレーキを操作しつつ踵でアクセルをあおる動作をする、左足はもちろんクラッチ操作を行い、左手はシフトレバーをガチャガチャ動かす、これだけの操作をスムーズに素早く行えるまでに練習あるのみ、画像はネット上から拝借

 

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シフトチェンジ時のブリッピングとダブルクラッチ

シフトチェンジ時のブリッピングのお話をするにはダブルクラッチを説明しないといけない。
ダブルクラッチとは現代でいうDCT(ダブルクラッチトランスミッション=2ペダルミッションの1種)とは全く異なる。DCTはモノの事だが、ここでいうダブルクラッチとは操作方法の事なのだ。
昔の車のミッションや今でも特殊なトランスミッションを積んでいる車の運転に用いる操作方法だ。

例えば3速にから2速にシフトダウンする際には通常のトランスミッションではシフトレバーを掴んで3速位置からニュートラル位置を通り2速へと動かす、その時クラッチペダルは踏んだままだ。
これに対してダブルクラッチの操作方法は3速から抜く時にクラッチを踏む、ニュートラルを通過する際にクラッチを繋げる(放す)、2速に入れる時にクラッチを踏む、2速に入ったらクラッチを繋ぐという事をする。つまり1段階シフトを変える際に通常1回(踏んで放す)のクラッチ操作が2回(踏んで放して踏んで放して)となる、クラッチを2回踏むからダブルクラッチなのだ。

ではなぜダブルクラッチという操作方法があるのかという事だが次のような理由による。
トランスミッション内部は入力(エンジン)側と出力(タイヤ)側の2つのギアが噛み合うようになっている。現代の車はここがシンクロギアの働きでこの2つのギアが噛み合う際に回転合わせを行う。
回転合わせができない時は激しいギア鳴りが発生しギアが入らない、最悪の場合ギアが欠けてしまうようなトラブルになるのだ。
昔の車のミッションや特殊なトランスミッションの車では必須の操作方法なのだ。
現代の車のトランスミッションはシンクロギアが強力で丈夫なためこうした操作は必要無い。だけど現代の車でも限界領域で長時間(長期間)車を走らせているような場合はダブルクラッチでシンクロギアを労わってやるということもアリかもしれない。

一般的なトランスミッションの概念図、メインシャフトに付いたギアとカウンターシャフトに付いたギアが噛み合う、この噛み合いをスムーズにするのがシンクロギアと呼ばれる機構(ここには書いてない)なのだ、画像はネット上から拝借

一般的なトランスミッションの概念図、メインシャフトに付いたギアとカウンターシャフトに付いたギアが噛み合う、この噛み合いをスムーズにするのがシンクロギアと呼ばれる機構(ここには書いてない)なのだ、画像はネット上から拝借

 

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シフトチェンジ時のブリッピングの本当の意味2つ

ダブルクラッチの操作は分かっていただけたと思う。
ではシフトチェンジ時のブリッピングの意味はどのようなものがあるのだろうか。
1つ目としてはトランスミッション内の2つのギアの回転を合わせるためにダブルクラッチを使ってブリッピングするのが本来のシフトチェンジ時のブリッピングの意味なのだ。
この結果どうなるかと言えばスムーズに素早くシフトチェンジが可能となりトランスミッション自体も長持ちする操作となる。
また2つ目としてはダブルクラッチを使っても使わなくても最後にクラッチを繋ぐ際にスムーズにクラッチを繋ぐという意味を持つ。つまり駆動輪に対してトルク変動を出来る限り与えないという働きだ。

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わざとブリッピングしないという方法もある

駆動輪にトルク変動を与えないとはどういうことだろうか。
FR車を仮定してみよう、減速局面において少しでも横Gが掛かった状態でブリッピングをしないでシフトダウンしクラッチを乱暴に繋ぐとFRなので後輪だけブレーキを掛けた状態と同じになる。
すると車の挙動としては後輪がコーナー外側に滑り出す、いわゆるブレーキングドリフト状態となる。
こういった状況が駆動輪に急激にトルク変動を与えた状態だ。タイヤの摩擦力は急激な操作でG(縦も横も)を与えることにより限界を越える。これをなるべく抑えようとするのがシフトチェンジ時のブリッピングなのだ。
上記の説明のように回転を合わせず(ブリッピングせず)クラッチを急激に繋いで後輪をロックさせてわざとブレーキングドリフト状態に持ち込むこともテクニックの一つとしてあるのだ。
いずれにしても限界域では急なトルク変動やGの移動は禁物なのだがこれを逆手に取ったテクニックである。
また急激なトルク変動を与えないでかつブリッピングしないでシフトチェンジを完了する方法はクラッチをゆっくりと繋ぐという方法もある。発進の際の半クラの逆だ。
しかしこれは完全にクラッチを繋ぐまでに時間が掛かるので時間的なロスとなる。

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最後にまとめヒールアンドトーは必要なのか?

結論から言うと減速時のテクニックとしてヒールアンドトーは必要無い。ヒールアンドトーをしなくても速く走れる人は走れる。
しかし駆動輪のトルク変動を抑えたスムーズで速いドライビングのためにはできた方が良いテクニックなのだ。しかし主はブレーキングで、従はブリッピングであることを間違えないでほしい。
トーアンドヒールが本来の姿だ。トーアンドヒールを行うためにブレーキングがガクガクしたり、おろそかになるのは本末転倒である。
そして現代の車ではダブルクラッチは必要は無い。オッサン的にはトーアンドヒールとダブルクラッチを同時にやろうとすれば足も心も頭もこんがらがって無理がある。
しかしトーアンドヒールはあくまでスムーズにブレーキングができるようになるまで練習をしてほしいと思うのだ。
ドライビング理論はポール・フレールさんの「新ハイスピード・ドライビング」Amazon)という本がお勧めだ。一度読んでみるのが良いと思う。

 

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