通常の車の運転時に左足ブレーキングは必要なのか?

車の運転において左足ブレーキングという言葉が時々出てくる。
この左足ブレーキングというのは一体どういう事なんだろう、また役に立つのだろうか?
そんな左足ブレーキングを掘り下げてみた。
これはあくまでも管理人TomTomの個人的意見なのでご了承を。

ペダルと足の関係:マニュアル車編(3ペダル)

スポーツ走行とか特殊なドライビングを除外して基本に忠実に車を動かす際の事を考えてみると。
マニュアルミッションの自動車には3つのペダルがある。皆さんご存知のアクセルペダル、ブレーキペダル、クラッチペダルというわけだ。これらのペダルを足で操作するわけだが踏み込む足も基本的に決まっている。

  • アクセルペダル:右足
  • ブレーキペダル:右足
  • クラッチペダル:左足

これは管理人TomTomが思うには自動車の発展と共に自然発生的に決まっていったモノだろうと想像している。というのはブレーキを掛ける局面では加速するためのアクセルペダルは離すでしょ、だからブレーキペダルは右足でアクセルペダルを踏みかえて踏んでくださいね、という考え方だ。
クラッチペダルについては加速する際にアクセルペダルと同時に操作する必要があるから、これはもう左足でしょという事だと思う。
管理人のZC31スイフトスポーツのヤワなペダル
↑ ZC31スイフトスポーツのマニュアル車のペダル、ご存じの通り右からアクセル/ブレーキ/クラッチの各ペダル、一番左はフットレスト

ペダルと足の関係:2ペダル車編

マニュアル車でのペダルと足の関係がある程度決まってしまうと2ペダル車はその延長だ。
クラッチが無いだけでその他の操作方法は全く同じなのでペダルと足の関係もそのままとするのが自然だし車を乗り換えても混乱しない。
個人的に思うに、車を乗り換える、つまりマニュアル車(3ペダル車)と2ペダル車を乗り換えても混乱しないようになっているのだろうと思う。
シトロエンC2の2ペダル車のペダル
↑ シトロエンC2の2ペダル車のペダル、シトロエンC2の場合はアクセルペダルがプラスティック製だった、ブレーキはやや大きめ、フットレストは形はあるが表面のプレートが無いタイプ

カートに見るペダル配置

皆さんはカートに乗った事はあるだろうか?、遊園地やカート場で乗ることができる。カートはペダルが2つしか付いていない。アクセルとブレーキが付いていてクラッチは無い。
このカートの2つのペダルの配置はどうなっているか?
これも管理人TomTomの想像だがカートにおいてペダルをレイアウトするスペース的な制限で左右に別々になっていると思う。
カートは小さな乗り物で股の間にはステアリングシャフトが通り足の自由度が無い。その先のペダル部分についてもスペースはミニマムなのだ。
カートではアクセルは右足、ブレーキは左足で操作するようになっている。こういう乗り物もあるのだ。

レーシングカートのレイアウト図
↑ レーシングカートのレイアウト図、青丸の部分がペダル、右がアクセルで左がブレーキでクラッチは無い、ペダル自体は板状のモノでは無く棒状のモノ、画像はネット上から拝借

そもそも左足ブレーキングとはどういうことなのか?

では通常の車において左足でブレーキペダルを踏むという事にどういう意味があるのか。ここでは話を単純にするために2ペダル車を例にお話を進めてみよう。
2ペダル車の場合に左足でブレーキペダルを操作すると右足は当然アクセルペダルという事になる。つまり右足はアクセルペダルのみを担当、左足はブレーキペダルのみを担当という専業制度が出来上がる。

この専業制度が優れているところは左右の足は独立して動かせるという事だ。兼業制度だと右足は2つのペダル(アクセルとブレーキ)担当だからどちらかを踏んでいるともう一つは踏めないのだ。言い換えると同時に2つのペダルを操作できないという事になる。

左足ブレーキングは同時に2つのペダルを操作するための方法なのだ。
これと同じくマニュアルミッション車の時の2つのペダルを同時に操作する方法として、以前書いたヒールアンドトーもこうした場合の1つの方法という事だ。

アクセルとブレーキを同時に操作するメリットとデメリット

メリット

最近のレース車両は変速時にクラッチペダルを使わない車が多い。クラッチを操作するのは発進時のみなのだ。
そうすると走っている最中では左足は余ってしまう。そこで左足でブレーキを踏むことにより次のようなメリットが出てくる。

  • ブレーキをかけ始めるタイミングを早くする事が出来る

 ペダルを踏みかえる(アクセル→ブレーキ)事が不要
 ※競技だけではなく一般でもメリットがあるだろう

  • アクセル操作中にブレーキ操作を積極的に使用する

 WRC等の4WDのラリー車ではアクセルは全開、ブレーキで姿勢制御という積極的な利用方法をする
 ※一般ではあまりメリットは無い

デメリット

  • 操作ミス

 この対策としてはこの操作方法に慣れるしかないだろう

  • 燃費が落ちる

 アクセルをオフにする時間が短くなる

ポロWRCカーのペダル
↑ PoloのWRCカーのペダル、真中のブレーキペダルが大きく左足でも踏みやすくなっている、画像はネット上から拝借

最近の車における安全対策

最近の車ではBOS(ブレーキオーバーライドシステム)が付いている。
これは2ペダル車の発進時のミスを無くす目的でアクセルとブレーキペダルが同時に踏まれた場合にブレーキを優先するシステムだ。
このシステムが付いているとアクセルを踏みながらブレーキペダルを操作した際にブレーキが優先されるため積極的なアクセル操作は出来なくなる。WRCのような運転は出来ないという事だ。

また2ペダル車で坂道発進で後ろへずり下がらないように左足ブレーキングを使う場合もあるが、車によってはヒルホールド機構が付いている場合もある。右足だけでスムーズな坂道発進が可能だ。

トヨタシエンタのヒルスタートアシスト
↑ トヨタシエンタのヒルスタートアシストコントロール、坂道発信の際にブレーキから足を離しても一定時間ブレーキをキープする機能、これなら坂道発進でずり下がる事も無い、画像はメーカーサイトより拝借

通常の運転で左足ブレーキングは必要なのか?

通常利用の2ペダル車においてという前提とする。
モータースポーツや特殊な場合の運転は除外するとして、今までの事から通常の運転をする限りでは左足ブレーキングは必要無いだろう。

通常の運転時にメリットがあるのはブレーキペダルへの踏みかえ時間を短縮する事、つまりブレーキを踏もうと思ってからペダルを踏み込むまでの時間を短縮するには有効だ。
ただしかなり練習しておかないと難しい操作なのでお勧めはしない。

もう一つは前述のヒルホールド機構が付いていない車で坂道での発進や切り返し時の車のずれ下がりを左足ブレーキングでカバーする事だ。
これは管理人TomTomも良く使う。最近の車は足踏み式のサイドブレーキも多くハンドブレーキが使えないので有効だと思う。

最後にモータースポーツや競技ではこの限りではない。2ペダルでも3ペダルでも左足ブレーキングが有効な場面が多々ある。これについてはまた別の機会に書くことにしようと思う。

今回はこのへんで
では