車とITの最近のトレンド タクシーのIoTとか自動運転とかについて考えてみた

3連休だが皆さんはどのようにお過ごしだろうか?
行楽地や帰省をされている方も多いと思うので是非安全運転でお願いしたい。
連休でゆっくりと考える時間が取れたので車にまつわるITのトレンドの中からタクシーIoTと自動運転を取り上げてみたいと思う。

NV200タクシー

タクシー業界の事情

タクシー業界というのは規制で守られた業界だが最近の世界的なトレンドではUberのような表現は悪いが白タクサービスに脅かされている。
日本ではタクシーが供給過剰気味で都市部はまだマシだが地方部では成り立たないという現状もある。
そのせいもあって生き残りをかけてタクシーのIoT化がますます大きく取り上げられているようだ。

地方ではタクシーの需要が細り存続できないタクシー会社が多く出てきている。
公共交通網が発達していない地方部ではユーザーにとってタクシーは重要な足なのだ。
都市部とは異なり少々異なるサービスの工夫をし生き残りを模索しているタクシー会社も多い。

タクシーIoTの歴史

ここではタクシーIoTと言っているが昔はそんな言葉は無かったので様々な呼び方をしてきた。
タクシーIoTの歴史と銘打つほどでもないが管理人TomTomが知る限りのタクシーにまつわる通信とその目的を書いてみよう。

タクシーは実車が非常に大事だ。
稼働台数のタクシーのうちに顧客が乗って走っている状態を実車という。
この状態が長ければ長いほどタクシーは儲かるという事になる。
これは簡単な事だ。

では実車を高めるにはどうすれば良いか? それは空車を少なくする事だ。
これも簡単だが言うは優しい行うは難しいのだ。

そこで考え出されたのが配車効率を上げるためのタクシーIoTなのだ。
これは管理人TomTomが知る限り10年以上の歴史があり携帯電話会社のモバイル通信やスマートフォンの前身であるPDAが登場した際にはさらに加速したのだった。

タクシーにおける顧客の囲い込み

いくら機器を装備したとしても顧客に乗りたくないタクシー会社と思われると商売として全く成り立たない。

そこでタクシーでの顧客の囲い込みというとなにやら難しいようだがファンを作る事だ。
タクシーに乗る際には顧客からこのタクシー会社という指名をしてもらうという事に尽きる。
このためには普段からのサービスがモノを言う。
さらに指名された時にいかに素早く顧客のいる場所に迎車できるかという事がポイントなのだ。

このため配車効率を高めるために先進的なタクシー会社は様々な手を打ってきた。
そのひとつがタクシーの稼働状況をリアルタイムで把握するシステムであり配車システムだ。
最近ではこれに加えて顧客が直接呼び出せるシステムの導入が増えた。

タクシーIoTの実際の動きとハードウェア

呼び名はともかくその目的としては次のような事がある。

  • GPSで現在位置とステータス(実車/空車)を把握する事
  • 顧客からの連絡を受けて迎車までにかかる時間をいかに短縮できるか

の2点だ。

迎車までにかかる時間をいかに短縮するかという点についてはできるだけ顧客のいる場所に近い空車を見つけて行ってもらうかという事に尽きる。
そのためにリアルタイムでの位置情報が必要なのだ。

このために昔から様々な車載端末が試されてきた。
古くは専用端末だったりPDAだったり、現代ではタブレットやスマートフォン等々だ。
専用端末では台数にもよるが市販品よりもコストがかかる。
一方車載機器と言うのはハードウェアとしての条件がめっぽう厳しい。
この点については後述する。

ただこうしたタクシーIoTは管理人TomTomが知る限り以前とデータをクラウドで管理するとかくらいしか機能的な事は変わっていない。
ちっとも進歩しない業界なのだ。

もちろんこうしたシステム投資はハードウェアをも含めて結構な金額になる。
配車用のスマートフォンアプリは全国で共通化がやっと実現してきているがこうした配車システムは一部の大手タクシー会社のみしか採用していないというのが現実だろう。
これではこれからの生き残りをかけた競争を現状のシステムの力で生き残っていくには不足だろうと思う。
全国で横断して低コストで利用できるシステムだとかもっと画期的な事を盛り込まないといけないだろう。

車載機器の熱対策

前述の通りタクシーIoTでは数々のハードウェアを車載する必要がある。
車載機器は非常に暑くなる車内での利用を考えて動作保証温度の範囲を広く取る必要があるのはお分かりだろうと思う。

これが意外とネックなのだ。
通常の市販品電子機器の温度補償範囲を確認すると意外と低い事に気が付く。
おおむね0℃~40℃というところだろう。
だがこの温度範囲では全く役に立たないのだった。
最低でも50℃できれば60℃くらいまでカバーしないと真夏では熱暴走してしまうのだった。

こうした広範囲の熱対策を施したハードウェアとなると特注となる。
このコストがシステム構築に対してのしかかるのだ。
さらに動いいている車だけに振動対策も必要だ。
こう考えると電子機器にとっては最悪の条件とも言えるのが車載なのだ。

そういう意味ではECUなんてこうした熱保証と耐振動を考えると大変な技術であると言える。
それこそこうした稼働環境による誤動作は命にかかわるからだ。

タクシーIoTはシステムとしてのソフトウェアもハードウェアもちっとも進歩の跡が見えない。
だが少しづつだが確実に新しい波が押し寄せているのは事実だ。
こうした事を考えるともっと真剣に利用者のためになるシステムを搭載したタクシーとなる必要があるだろう。

自動運転の精度と現実

ここまではタクシーIoTの事を書いたが自動運転についても書いてみたい。

自動運転の話題としてはGoogleの自動運転車が事故を起こしたという事が記憶に新しい。
自動運転だけに「だろう運転」を排除できるのかと思っていたがそうでも無いらしい。
つまり実際の路上は矛盾だらけという事なのだろう。

今回のGoogleの自動運転の事故は次のような内容と把握している。

  • 自分の車線に障害物があった
  • それをよける際に隣接する車線へはみ出した
  • その結果隣接する車線を走ってきたバスと接触した

これまでの自動運転の問題点はゆっくり走りすぎる事だ。
ゆっくり過ぎるために後方から追突される事故が多かった。
このために判断を端折って周囲に甘える結果となり(相手がよけてくれる)接触したのではなかろうか。
結局センシングが十分でもそれを解析するスピードが追いつかずまだ十分とは言えないという段階なのだろうと思う。

自動運転の際の位置精度の問題

前回自動運転の事を書いたのは2015年11月頃のお話だ。それからどうなったのだろう?
社会インフラと車というカテゴリーにまとめてあるので参照してほしい
現在の技術では自動運転に必要な位置精度がまだまだ不足のようだ。
例えばGPSとジャイロの組み合わせでは最悪精度が10mとなる。
これは現実に車を走らせようとすると無理な数値だ。

位置精度としては最低でも数十㎝程度に収めないと実用にはならないと思う。
それでも狭い道や山の中では壁に接触したり谷底へ転落なんてことにもなりかねないのだ。
できれば10㎝以内に収める事が出来ればかなり期待できる。

山の中やトンネルの中等々でGPSを受信できない場合もある。
さらに戦時ではGPSが機能しないという事情もありGPSに頼るのはあまり現実的ではないように思う。

最近ではランドマーク検知と高精度地図による空間情報の組み合わせでは横方向10㎝縦方向50㎝程度の精度は出るようになっているようだ。
そうなるといかに高精度な地図を作れるか、それをメンテナンスできるかというところが問題となりそうだ。

現在の自動運転の水準に思う

管理人TomTomはGoogleの自動運転車の事故には正直ガッカリした。
さらに各自動車メーカーが行っている実験についてもまだまだという印象が強い。
一足飛びに技術が進歩する事は無いのは分かってはいるがまだまだ機械が人間に追いついていないというのが感想なのだ。

これが自動車専用道ならまだマシだが一般道路となるとお手上げ状態だ。
人間はもちろん車や自転車はたまた動物までありとあらゆる障害が存在する。
さらに道路状況も刻々と変わる、季節によっては草が生い茂ったりもするし道路に穴が開くという事もあるだろう。
新しい建物ができて視界が変わるということもある。
こうした事を全て網羅出来ないと自動運転は出来ないという事だ。

ここは逆転の発想で船のように多少の車同士の接触は許容するような前提としてはどうだろうか。
船を桟橋に寄せる際に接触を前提として緩衝材を船の周りに設置している。
こうした事を車でも考えないと難しいのではなかろうか。
でも車好きにはコレは許されない事だから余計に始末が悪いと思う。

もう少し画期的な技術の進歩を待つしかないのだろうか。

今回はこのへんで
では