GRMN86の詳細を聞いてきたらかなり本気の内容、大阪オートメッセ2015

以前GRMN86の内容がオートサロンで出ていたが、今回は足を運んだ大阪オートメッセ会場で運良くトヨタの方にお話を詳しく聞くことができたのでレポート。

GRMN86は思っていたよりマジ本気の内容だった

GRMN86は個人的にはいつものGRMNのシリーズ展開という感覚で受け取っていたのだが、大阪オートメッセで運良くトヨタの方に詳しく聞くことができた。
その内容たるや細部まで非常にこだわったモノでビックリしてしまった。結論から言うとこのままの内容で400万円台の価格付けがされるのであれば絶対買いだ。
ただし現在の情報では価格と発売時期、それに販売台数の情報は聞き出せなかった。
根掘り葉掘り質問させていただいたトヨタの担当の方に感謝、でもかなり口は堅かったのである。
GRMN86のスペック
↑ GRMN86のスペックシート、結構細かいところにまで手が入っている事が分かる、パワートレーンではクロスミッションとファイナル変更に強化トルセンLSD、中空ドライブシャフトは強度が心配だがどうなのだろうか、発売時期と価格は未定、クリックで拡大

エンジンにはメーカーらしい手法で手が入っている

GRMN86のスペックは詳細が分からないのだがこのエンジンはかなり手が入っている模様だ。
まずインテークマニーホールドだが長い部分と短い部分があり状況に応じて切り替えるような仕組みになっている。この目的はノーマルFA20エンジンのトルクの谷を消してドライビングしやすいフラットなトルク特性にするという目的だったようだ。
さらにエアインテークの部分にもバルブが付いており速度域に応じてバルブを開閉するということだった。
エンジン内はファインチューンがされており馬力やトルクを上げる方向のチューンではなく、あくまでフラットな特性とするためのチューンが行われたということだ。エンジンルームを覗きこむとまず目に入るのがインテークマニーホールドでなんだかシルバーの嵩高いモノが一番目立つ場所に鎮座している。
またエアインテークはこれまた二股に分かれていてバルブで吸気量を制御するようになっている。下を覗きこむと効率の良さそうなエギゾーストマニーホールドがエンジンの下に見えていて曲線美が素晴らしい。
既報のマフラーについてはやはりバルブが付いておりアクチュエーターでバルブ開閉して特性を変えるようになっている。
GRMN86のインテークマニーホールド画像
↑ GRMN86のインテークマニーホールド画像、シルバーのパイピングがインテークマニーホールドだ、上に長いパイプと下に短いパイプが見える、これらを切り替えることでフラットトルクを実現している、少し嵩高いのでもう少しコンパクトになればベスト、エンジン内部もかなり手が入っている模様だ詳細はどうも不明それにしてもきれいに仕上がっているのがさすがだ

GRMN86のエアインテーク画像
↑ GRMN86のエアインテーク画像、赤いパイプに繋がった黒いボックスがインテーク、下が車の前方で2か所からエアを吸うようになっている、右側にはバルブが付いていて条件により吸入量を制御する、意外と前方はスカスカしている印象だ

GRMN86のエギゾーストマニーホールド画像
↑ GRMN86のエギゾーストマニーホールド画像、かなり凝った作りのExマニ、これは効率が良さそうで焼けてくると良い色になるのかもしれない、チラっと見せているところが憎いところ、これが全く見えないとちょっと悲しいかも

GRMN86のマフラー画像
↑ GRMN86のマフラー画像、左のアクチュエーターがロッドで右のバルブを動かす構造、これでマフラー内部のバルブを動かして排気をコントロールする、効果としてはどのような効果があるのだろうか、サウンドも異なるだろうしエンジンの特性も変わるのかもしれないが効果は不明だ

メーカーが手掛けた空力のチューニング

GRMN86のボンネット、ルーフ、ドランクはカーボン製だ。
ボンネットには左右に大きな開口部があり内部に雨除け用のカバーが付いている。サーキットを走る際にはこのカバーを左右両方とも取り外して走ってほしいとのこと。取り外すとこの開口部からエアーが抜けてフロントのリフト量が減るという効果がある。
このボンネットのフロントリフト低減効果と合わせてリアウィングの設定がされている。フロントフェンダーに付いた小さなフィンについてもカッコではなくミラー周りの整流に効果があり、ボンネットから抜けたエアーがうまく流れるようになっている。
全体的に空力付加物はそれほど派手なモノではないが風洞でじっくりと詰められたものでそれほど高速でなくても効果が実感できるようになっているということだ。
GRMN86のリアウィング画像
↑ GRMN86のリアウィング画像、調整式のカーボントランクにマウントされたカーボンウィング、フロントのボンネットのエアアウトレットと合わせてウィングも調整することで前後のバランスと好みにセッティング可能、カーボントランクは内側に骨が入っており強度はかなりありそうな感触だった、トランクを開けるとビックリが隠されている

レーシングカー並みの軽量化の試み

GRMN86の全体的な軽量化もかなり詰められていると見た。
前述のボンネット、ルーフ、トランクのカーボン化がされており、トランクは3kg程度の重さになっているとのことでノーマルの鉄製のモノからはかなりの重量減となる。
またリアガラス、リアクオーターウィンドウはポリカーボネート製となっていて、これはもうレーシングカーの手法だ。
それに良く見るとリアウィンドウはポリカーボネート製であるが熱線が仕込んであり非常に凝った作りになっている。
これで車検には通るということだが、叩いてみるとガラスとは異なる感触だった。
GRMN86のリアウィンドウ画像
↑ GRMN86のリアウィンドウ画像、ボンネットにルーフそれにトランクがカーボン製で軽量化、極めつけはこのリアウィンドウでポリカーボネート製となっておりご丁寧に熱線まで仕込んである、実用性を犠牲にしないところはさすがメーカーメードだ、左にチラっと見えているリアクオーターもポリカーボネート製となっていてレーシングカーのようだ

ニュルを走ってみて必要なチューニングの足回り

個人的にはどうしてこういうチューニングが今までできなかったのかと思う。
GRMN86ではサスペンションのストローク量を確保するためにノーマルよりタイヤホイールの外径を落として17インチとしクリアランスを確保している。
ニュルのようなコースだと路面が悪いためサスペンションの総合的なストロークが必要で特に伸び側のサスペンションの動きが重要になる。横から見た感じではフェンダーとタイヤホイールの間隔は離れているのだが車高はそこそこ低い。
つまりキチンとストロークする足回りになっているということだ。なにがなんでも大径のタイヤホイールが良いという訳ではなく適材適所の見本のようなチューニングだと思った。
Gが掛かった状態で路面が悪いと固いサスペンションははねてしまいトラクションが抜ける、それではタイムは出ないのだ。
タイヤはニュルをターゲットにしているためか出たばかりのRE-71Rだが内容はスペシャルということだ。
GRMN86のフロントブレーキ周り画像
↑ GRMN86のフロントブレーキ周り画像、フェンダーアーチとタイヤの間隔が空いている、これはサスペンションのストローク量を稼ぐため、タイヤホイールは17インチでノーマルよりも小径のタイヤが装着される、ちなみにノーマルは215/45R17でGRMN86は215/40R17となる、ちなみにリアは235/40R17、キャリパーは対向6ポッドモノブロック2ピースローターと組み合わされる、ちなみにブレーキはアドヴィックス製ということだ、実際にニュルでもこのブレーキで十分だったらしい、タイヤはRE71Rのスペシャル、チラッと見えるサスペンションはどのようなモノが付いているのだろうか情報は残念ながら今のところ無い

GRMN86のフロントストラット頭部の画像
↑ GRMN86のフロントストラット頭部の画像、サスペンションは特に調整式ではないようだ、それにアッパーマウントはピロボールではない

足回りを生かすボディーチューニング

GRMN86についてここが個人的には一番興味のあった部分だ。
どのようなボディーチューニングを施してニュルのような路面が悪い高速のコースに適用させるのか興味がある。
基本的にはボルトオンでのボディー補強がされていて各部にブレーズが装着される。一番注目だったのがリアバルクヘッドをふさぐ形の補強だ。これはラリー車では良く使われる手法でリアシートの背もたれがあった場所に金属のパネルを装着してボルトで固定する。するとリア周りの剛性を確保できるようになるという具合だ。これによりリア周りの剛性は約80%アップとなった。
こうして確保されたボディーの剛性は十分だったようで、あえてロールバーを入れなくても良いという最終的な判断となったようだ。これは日常使いには非常に良いことだと思う。
GRMN86のリアバルクヘッド周り画像
↑ GRMN86のリアバルクヘッド周り画像、本来はトランクスルーになっているところを金属製のパネルで蓋をする方式でリア周りの剛性をアップしている、この方式はラリー車では良く行われる方法だ、ちなみにGRMN86は2名乗車なのでリアシートは無い

これを聞いて欲しくなってしまった自分がいる・・・

これだけトヨタが本気で力を入れたGRMN86を走らせるとどのような感覚なのだろうか。
想像するにGRMN86は癖の少ない自分の思い通りに動く車となっているのではなかろうかと思う。どこを走ってもターマックならかなり気持ちの良く実際に速く走れそうだ。
また内外装についても価格なりの高級感ではないがやった感があり満足できる内容だと思う。
特に内装については機能的だが味気無くなることを排除できている。GRMN86実車の完成度を間近で見ると欲しくなってしまう自分が怖い・・・。
GRMN86のリア画像
↑ GRMN86のリア画像、マフラーはセンター1本出し、口径は太くないところが通好みだ、少しのっぺりしたバンパー下部となっていてもう少し変化が欲しいところ、しかしこのままでもかなりのインパクトはありそうだ

GRMN86のインパネ画像
↑ GRMN86のインパネ画像、ステアリングは2色になったアルカンターラ製、シートはレカロのリクライニングバケットシートでステアリングホイールと同様のカラーリング、シート高の調整機構は無い、高額車になることが予想されるだけに内装もある程度安っぽくなく見える努力が見える、ミッションは6MTのみのラインアップでATは用意されない

今回はこのへんで
では