新型イグニス4WDに試乗してみたら 良い意味でSUVらしくて良いと思った

以前から小さなSUVというかクロスオーバーに興味ありありの管理人はやっとスズキの新型イグニスに試乗してみたのだった。
その印象は良い意味でSUVらしく仕上がっていてまずまずの印象だ。
最近ではクロス―バーのジャンルも乗用車化してきているのだが少しだけSUVチックな味が残っているのだった。

スズキイグニスZNCガンメタ

そもそもあいまいなクロスオーバーの定義

そもそもクロスオーバーってなんだろうと思う時がある。
管理人TomTomはクロスオーバーは4WDでないといけないと勝手に思っている。
クロスオーバーにとって4WDモデルがあるという事は最低条件なのだ。

80年代のSUVブームの際には管理人TomTomもヘビーデューティーな4WD車に乗っていた。
今考えると4WD性能を生かせていたかと思うとなかなか使いこなせていなかった。
4WD性能が生かせるのは時々一人で敢行する林道アタックや雪道くらいのものだ。
しかし一人で行動する場面ではあまり無茶は出来ないのだった。

こうしたシュチエーションを除くと積雪地帯へスキー等で出かける時くらいが4WDの活躍の場だった。
オートキャンプも大好きだが4WDが必要なキャンプ場はほとんどない。
これは今も昔もあまり変わらないだろう。

とすると現代のクロスオーバー車と言うのは4WDだが本格的な4WDではないライトな4WD車という事と解釈している。
これならば街中を転がすにもちょっとした冒険へ出かけるのにも気兼ねなく使えるのだ。
一言で言うとどこへでも出かけられる万能車という事になる。

新型イグニス4WDに個人的に期待する事

管理人TomTomは1台であらゆるニーズをこなすのであれば街中での使い勝手も必要だと思うし前述のより厳しい条件での性能も必要だ。
それにツーリングに供するなら燃費性能と航続距離も必要だと思う。
山岳部ではガソリンスタンドが無い事が多いからだ。

これに自分が考える乗車人数とその装備により車の大きさが決まってくるように思う。
管理人TomTomが考えるのは2名乗車で比較的ロングツーリングに夏場でも冬場でも出かけられる車。
もちろん普段は街中での利用をする。

こうした使用方法を考えると新型イグニスのサイズと言うのは非常に魅力的なのだ。
出先の狭い街中でも取り回しが簡単で駐車場所に困らないというのはありがたいのだ。
こうした目線から新型イグニスMZの4WDモデルに試乗してみたのだった。

新型イグニス4WDは4WDを意識させない

試乗車は新型イグニスのMZグレードで4WDモデル。
乗り込んでみて4WDを意識させられる部分はほとんどない。
当たり前だがジムニーのように副変速機のレバーがある訳でもないし4WDのボタンがある訳でもない。

セールスマンの説明によるとラゲージが2重底になっているのだが底が浅くなっているという事だった。
もともとラゲージはミニマムでリアシートを最大限後方へスライドした状態ではコンビニ袋が置けるほどしかスペースは無い。
リアシートを前方へスライドさせるとそれなりのスペースが確保できるのでその場その場でアレンジをすれば良いだろう。

走り出しても街中では4WDであることを意識する場面は全く無い。
2WDモデルには乗った事が無いが1.2L+CVT+マイルドハイブリッド+4WDの組み合わせでも動力性能はそれなりに確保されていると思った。
加速をしてみたのだが重く感じる事もなく普通のコンパクトカーの感覚だ。
新型イグニスの4WD機構はビスカスカップリングを用いた簡易型の4WDではあるがこの事で軽量に仕上がっているので普段の走行にそれほど影響を与えていないのだろう。

実際スペックを見てみても2WDモデルと4WDモデルの差はわずかしかない。
例えば重量はMZの2WDモデルが880kg、4WDモデルが920kgと驚異的な数値になっている。
燃費性能も同じくMZの2WDモデルで28.0km/L、4WDモデルで25.4km/Lとなっていてクロスオーバーとしては画期的だ。

新型イグニス4WDの試乗時のエンジンの感触

では試乗時の感触を思い出してみよう。
ドアを開けて乗り込んでみると比較的ドアが軽くてそれなりだ重厚感は無いがペラペラ感もない微妙な設定。

シートとステアリングの関係はまずまずで最廉価のMGモデル以外は運転席の高さ調整が備わる。
これにステアリングのチルト機構で調整すればそこそこのポジションは出せる。
シートは以前から感心しているのだが座面の前後長があってきちんとひざ裏やお尻をホールドしてくれるシートだ。
サイドサポートは小さいが車の性格を考えればこんなモノだろう。

スタートボタンを押すとエンジンが掛かる。
スズキはハイブリッドとは言っているが常時エンジンの掛かるタイプで走行中にモーターでわずかにアシストするタイプなのだ。
プリウスのようにずぅ~っとモーターで走るという事は出来ない。
少しアクセルを踏み込んでみたが1.2L+CVTの車としてはアクセルのツキも良く車速が上がっていく感覚も自然だった。
意外と力強いと感じたのはモーターのアシストがあるからだろう。

アイドリングストップはかなり自然になった。
車速が13km/h以下になるとエンジンがストップする。
普通自動車では完全停止でエンジンストップが多いが軽自動車ではこのあたりがスタンダードになってきた。
停止直前のブレーキの感触に少々違和感が残るが慣れれば問題無いレベルだ。
エンジンの再始動は非常にスムーズでプリウスまでとは行かないがかなりスムーズで静かだ。
これはISGの働きが大きい。

新型イグニスの1.2Lエンジンはボディーサイズや重量を考えると街中では十分なモノだと思う。
連続した上り坂や山岳地ではどのようなことになるかは分からないがそれほど苦労することは無いだろう。
ただ高速道路ではちょっと非力な印象となるのではないかと想像する。

新型イグニスのK12C型エンジン

新型イグニス4WDの試乗時の操作系の感触

前述のように新型イグニスのエンジンはまずまずの印象だった。
アクセルペダルを踏んでからのレスポンスやアクセルペダルの踏み込み方と車速の上がり方もスムーズで違和感が無い。

ブレーキに関してはそれなりの感触だった。
ブレーキペダルの剛性が十分高いという感触では無くちょっとだけ頼りない感じがした。
またアイドリングストップしてからのブレーキペダルの感触が少し違和感がある。
これはエンジンがストップしたためにバキューム系がストップした事による影響だろうか。
トヨタのアクアのようにどうしようもないといレベルではないので慣れれば何とかなるだろう。

ステアリングホイールの操作についてだがなんせ軽い操作感だ。
元々車自体がタイヤが細く車重が軽いのでステアリングホイールの回す力はそれほど必要無いと思う。
一言で言うとオーバーアシスト気味という印象だ。
さらに中立部の情報が少ないと思った。
これは良い意味でSUVらしくダルで神経を使わなくても良い、悪い意味で反応が悪いと感じるかもしれない。
昔多かった前輪がポジティブキャンバーの付いた車の切り始めが良く分からないという感覚に良く似ている。
操作感の軽いステアリングを切り込んでいくと割合自然な感覚で切り込める。
ここはあまり違和感は無い。
もう少し太いタイヤホイールを履かせるとステアリングホイールの感触はどっしりとするかもしれない。

ウィンカー等の操作系についてもストロークは比較的大きいが感触は悪くない。
逆に手袋をして操作するような場合はストロークが大きい方が分かりやすいかもしれないと思う。
エアコンの操作部はトグルスイッチのような形状になっているがこれは非常に操作しやすかった。

大阪オートメッセ2016の新型イグニスの車内画像

走行音についてはそれなりに入ってくるがうるさく安物臭いという感覚は無い。
騒音を低く抑えようという意思は感じられて不快な音は無かった。
メカ音としてCVTの音が少し聞こえていたが気になるほどではない。
高速道路をそれなりのペースで走るとどうなるだろうか。

室内の横幅は5ナンバー枠に比較して車幅が小さいが車内はそれほど狭くは感じないところが良いところだと思った。

新型イグニス4WDの試乗時のボディーの感触

ここまでは新型イグニスは及第点でまずまずの印象だった。
ボディーに関しては街中を30分ほど試乗しただけだが印象としてはちょっと物足りない。

乗り心地としてはクロスオーバーとして締まった印象がある。
一方ボディー剛性が高いという印象は無いが緩いという印象も無い。
たぶん緩いと感じるギリギリのところに持って行っているのではないかと感じた。
個人的にはもう少しボディーの剛性感を感じられたら良いと思う。

足回りは締まった印象があるが残念ながらなんだか頼りない印象だった。
どこがどう悪いのかがハッキリとは言えないのだが安心感が無いというか安定感が無いという印象なのだ。
これは車重の軽さとタイヤの細さからくるものであれば改善できるだろう。
もう少し乗り込んでみないと分からない部分だ。

こうした感触を持ったのだがスポーツカーのようにドライバーの操作に対して間髪入れずピクピク動いて剛性感も高いというのがクロスオーバーでの理想では無い事は明らかだ。
あまり敏感すぎるとドライバーが疲れてしまう。
そぅいう意味では言い方は悪いがダルな操作感に振ってあった方が疲れは少なくて良いだろう。
たぶん新型イグニスはそうしたところを狙ったセッティングになっているのだろうと思う。

新型イグニスのボディー構造

新型イグニス4WDの試乗時の外観の印象

新型イグニスについては前から気になっている事がある。
それはリアから見た外観が非常にプアな事だ。
特にリアハッチ部はどうしようもないほどプアな印象がある。

新型イグニスのフロントやサイドのデザインは非常にうまくまとめてあり誰もに好かれるデザインだと思う。
全体的なフォルムも小さいがバランスがとれたデザインで中でもフェンダーアーチの造形は特筆ものだ。
それだけにリアハッチの出来が悪いのが目立ってしまう。
ここをカバーするオプションやアフターパーツが出れば良いと思う。

大阪モーターショー2015のスズキイグニス リア画像

現代では5ナンバー枠の車は目一杯に作ることが多いが一昔前は目一杯では無い車も多かった。
これには各自動車メーカーの思惑と言うか主義主張があって面白いところだ。
新型イグニスも5ナンバー枠いっぱいという車では無いが少なくても日本では車幅は一杯の1,690mmあたりでも良かっただろう。
国際的にみると日本の5ナンバーサイズと言うのはあまり意味が無いので新型イグニスのサイズは国際的なBセグメントに合わせたサイズなのだ。
日本でもこのサイズは狭い路地や山道でも重宝するサイズになると思う。
それにクロスオーバー形状で4WDがあるというのは貴重な存在だ。

で結局 新型イグニスはどうなのだ?

管理人TomTomが新型イグニスに感じたことはまずまずの出来だという事だ。
事前の期待度が高かったが良く考えてみれば車の性格としてはこれで良いと思う。

個人的に期待外れだったのはボディーの剛性感とリアハッチの形状のみというところか。
クロスオーバーと言うよりもちょっと古風なSUVライクな乗り心地でのんびり乗るには非常に良いだろう。
ユーザーがこの車にどのような事を期待するかというところだ。
そういう風に割り切ってしまえばボディーサイズ、デザイン、質感、動力性能、操作感、それに燃費はまずまず良いと思う。

最後に気になっていたナビの件をセールスマンに聞いてみた。
するとこのナビはハーマンのモノですでにスズキではラパン等で採用されているナビという事だった。
そうすると全く新しいものという訳では無く既存のメーカー純正ナビにApple Carplayを追加したという事だろうか。
改めてこのナビについては見てみたいと思う。

ちなみに納期は現在のところ2か月程度という事だった。

今回はこのへんで
では