より本気のトヨタ86、限定100台のTRD「14R-60」ただし限定100台抽選

ひっそりとトヨタからというかTRDから86のコンプリートカーが発売になっている。

TRDの86コンプリート「14R-60」はハードコア

その内容はというとかなりハードコアだ。サーキットで走るのに必要なグレードアップが非常に基本的な方法で実現されている。まず骨格となるボディーに補強を入れて、サスペンションのアーム類を剛性アップ、そして各部のパーツをグレードアップという具合だ。そのどれもが非常に的を得ていて、さすがTRDの仕事だなぁと感じさせるものだ。
今回のTRD「14R-60」のベースとなる「86 TRD Griffon Concept」は以下のコンセプトで開発された。

  1. FR(フロントエンジン・リヤドライブ)であること。
  2. ベース車のFA20エンジンをベースとするNA(自然吸気)エンジンであること。また排気量アップもしない。
  3. モノコックの変更は行わず、ロールバーも装着しない。

となっていて、こだわりぶりが感じられる。エンジンがNAというのは理解できるが、ロールバーは装着しないというのはどういうことなのだろう。ここはTRDの思想をもう少し勉強し理解する必要があるように思う。

TRD「14R-60」のスペック

まずはスペックを見てみよう。

機能関係

・強化エンジンマウント
・強化デフマウント
・空冷式オイルクーラー
・強化クラッチカバー
・メタルクラッチディスク
・機械式LSD
・軽量フライホイール(40%軽量)
・クロスミッション
 1速:2.907(ノーマル3.626)
 2速:2.036(ノーマル2.188)
 3速:1.541(ノーマルと同じ)
 4速:1.213(ノーマルと同じ)
 5速:1.000(ノーマルと同じ)
 6速:0.767(ノーマルと同じ)
・ファイナルギア4.555(ノーマルは4.100)
・クイックシフト
・パフォーマンスロッド(バルクヘッドとストラット頭部を締結)
・トランク内ブレーズ
・倒立式車高調サスペンション(フロントピロアッパー、キャンバー調整可能)
・フロント/リアロアアーム(補強板付、ピロボール化)
・リアトレーリングアーム(補強板付、ピロボール化)
・トーコントロールアーム
・フロント&リアウィンドウを高強度接着剤使用
・ボディー補強(サスペンションメンバー/ブレーズ)
・ドアスタビライザー
・センター出しマフラー
・ブレーキ
 前4ポットモノブロックキャリパー、345mmアルミハット2ピースローター
 後2ポットモノブロックキャリパー、330mmローター
・タイヤホイール
 鍛造マグネシウムホイール(前18×8.5J inset 30、後18×8.5J inset 46)
 ブリヂストン製専用タイヤ「RE-11A 3.3T」235/40-R18、専用ロックナット
・スポーツエアフィルター
・オイルパンバッフルプレート
・CAN ECU
・EPS ECU
・牽引フック

空力関係

・フロントロングノーズ化/カナード装着
・リアデフューザー
・リアカーボンウィング(スワンネック形状つまり吊り下げ型)
・リアバンパー
・カーボンルーフ(ノーマル形状とは異なる)
・サイドスカート
・穴開きフロントオーバーフェンダー
・リアロアアームカバー

内装関係

・フルバケットシート2脚
・リアルカーボンのパネル
・アルカンターラステアリングホイール(センターマーク付き)
・シフトノブ/シフトブーツ/サイドブレーキブーツ(アルカンターラ)
・リアシート除去(リアバルクパネルはカーボン製)
・リアルカーボン製スカッフプレート
・専用フロアマット
・タカタ4点式ハーネス
・ナンバープレートボルト
・専用車検証ケース
・専用キーホルダー
・マニュアルリモコン
・スポーツドライブロガー

スペック

重量:1,230kg(GTグレードMTと同一)
エンジン:ノーマル
サイズ:全長4,335mm(ノーマル4,240)×全幅1,820mm(ノーマル1,775)×全高1,305mm(ノーマル1,320)
乗車定員:2名
ファイナル:4.555(ノーマルは4.100)
ミッション:6MT(1/2速ギア比変更)
価格:630万円(税込)

TRD「14R-60」の画像

次に各部の画像を見てみよう。
TRD「14R-60」のフロント画像
↑ TRD「14R-60」のフロント画像、フロントノーズは空力向上のため前方へ延長されている、下部にリップとコーナー部分にカナードが付く、フェンダーは片側20mm程度拡張されオーバーフェンダーとなっていて凝っている、86にもやっと穴開きフェンダーが付いた、画像はメーカーサイトより拝借

TRD「14R-60」のリア画像
↑ TRD「14R-60」のリア画像、 フロントに比較してリアはかなり派手な演出、巨大な吊り下げ式のカーボンリアウィング、センター出しのマフラー、純正よりこちらのほうが自然で良い、マフラー下のデフューザー、形状は一般的なものと異なりマニアックな形状だ、かなりカッコ良い、画像はメーカーサイトより拝借

TRD「14R-60」のホイール画像
↑ TRD「14R-60」のホイール画像、なんとホイールはマグネシウム鍛造、保管に気を使いそうだ、キャリパーは4ポットのモノ部六キャリパーが付く、ディスクも大径化されている、キャリパーとホイールの隙間を見ると17インチホイールもはまるかもしれない、この部分だけ見てもなんだか高性能車というオーラを感じさせるものだ、画像はメーカーサイトより拝借

TRD「14R-60」のサスペンションキット画像
↑ TRD「14R-60」のサスペンションキット画像、詳しいスペックは分からないが倒立式の車高調、フロントはピロアッパーマウントが付く、ピロアッパーでキャンバー角の調整が可能だ、特に外観はヘルパースプリングが付くわけでもないし仕上げに凝っている訳でも無いところが今回の「14R-60」の特徴なのだ、見てくれは一切無視し機能性だけを追求した形となっていて非常に通好みだ、画像はメーカーサイトより拝借

TRD「14R-60」のフロントとリアのエアロパーツ画像
↑ TRD「14R-60」のフロントとリアのエアロパーツ画像、フロントは前方へ延長、バンパー下にリップスポイラー、コーナー部分にカナードが装着されていてかなり空力を詰めたと思われる形状だ、リアも同様でセンターマフラーの下にデフューザーが付くがオリジナリティー溢れる形状だ、いかにも効きそうな印象を受ける、画像はメーカーサイトより拝借

TRD「14R-60」のカーボンパーツ画像
↑ TRD「14R-60」のカーボンパーツ画像、左のリアウィングはかなり大型でサイドの翼端板が非常に大きな形状、現在のトレンドである吊り下げ式となっているところが今時、これまたカーボンでできているルーフは形状も工夫され空力に貢献する、こういった所はさすがファクトリーメードと言ったところだろう、画像はメーカーサイトより拝借

TRD「14R-60」のマウント関係画像
↑ TRD「14R-60」のマウント関係画像、エンジンマウントとミッションマウントそれにデフマウントが強化品だ、一昔前は強化品というと非常に振動がきつくてアイドリングしててもブルブルと車体が震えるほど固かったが最近のモノはそれほど固くない、パワートレインを支えるエンジンマウント/ミッションマウント/デフマウントがしっかりするとトラクションがしっかりかかる、非常に基本に忠実なチューニングだ、画像はメーカーサイトより拝借

TRD「14R-60」のサスペンションアーム画像
↑ TRD「14R-60」のサスペンションアーム画像、こちらも基本的なチューニング、最近では見ることが少なくなったが各サスペンションのロアアームの剛性アップを図ってある、具体的にはノーマルのロアアームに当て板を溶接する方法だ、バネ下重量は重くなるがサスペンションの剛性は飛躍的にアップする、さらにピポッドをピロボール化してある、まるで昔のラリーカーを見ているようなチューニング、画像はメーカーサイトより拝借

TRD「14R-60」の室内画像
↑ TRD「14R-60」の室内画像、ステアリングは小径でアルカンターラのものセンターマーク付き、シフトブーツやサイドブレーキブーツそれにシフトノブもアルカンターラが張られる、高級という感じはないが操作はしやすそうだ、画像はメーカーサイトより拝借

TRD「14R-60」のシート画像
↑ TRD「14R-60」のシート画像、2シーター化されフロントはもちろんフルバケットが入る、リアはバルクヘッドにパネルが張られるがなんとカーボン製だ、ロールバーが無いだけで非常にコンペティティブな室内、現代の車らしくエアコン付なので快適に移動できそうだ、画像はメーカーサイトより拝借

TRD「14R-60」は普段乗りにはきついか?

ファイナルの減速比が4.555となっているので日常利用にはきついだろう。大昔に4.875の車に乗っていたことがあるが100km時のエンジンの回転数は5000回転で高速道路での移動が大変難儀したことを思い出す。そこまではいかないだろうがかなりのローギアードな設定なのだ。しかしサーキットやワインディングではクロスミッションと相まってエンジンの性能をフルに引き出せるだろう。
こういった走り系の限定車と言えばスバルのインプレッサのSシリーズやホンダのFDシビックType-Rの無限バージョンを思い浮かべる。今回のTRD「14R-60」は非常に高価な車だが、今までの走り系の限定車とは少し異なる方向性だ。高級感とは全く無縁だが、走る機能をとことん煮詰めたところが凄い。まるでレーシングカーやラリーのベースカーを売っているような雰囲気なのだ。メーカー側もそれは重々分かったうえで内容と価格を設定しているのだろう。一番凄いのは限定とはいえこの内容とこの価格を設定し売りに出す決断をしたメーカーが凄いと思うのだ。
このTRD「14R-60」、ある意味公道を走れるレーシングカーやラリーカー的な性格なのだが乗り味はどんなものだろうか。非常に楽しいものになるに違いないと想像する。TRDにはこの他にワンメークレース用「86Racing」もあるので必要に応じて選択できる。86は少しづつ充実してきている。
TomTom個人的86チョイスとしては「86Racing」を選択する。理由は装備内容に比較して価格がリーズナブルだからだ。

今回はこのへんで
では