「JPN TAXI」 と 「Japan Taxi」って違うんだ ハードウェアとソリューションの担い手

先日トヨタから、「JapanTaxi」とタクシー向けサービス共同開発等の検討に関する基本合意書を締結、という発表があった。
これを見て、あれっ?と思ったので調べてみたら「JPN TAXI」 と 「Japan Taxi」は全く異なる事に気がついた。
最近、管理人はクルマ自体のことにウツツを抜かしていて、クルマを取り巻く社会全体の構造変化に疎かった、完全に勉強不足だ
今回はちょっと趣向を変えて、クルマを取り巻く社会の構造変化のことを考えてみた。

「JPN TAXI」と言えば

トヨタJPN TAXIのサイド画像その2
toyota.co.jp

「JPN TAXI」と言えば昨年2017年にトヨタが発表したタクシー専用車の名前なのは皆さんご存知だろうと思う。
管理人TomTomはやっと実用本位なタクシー専用車が出てきたと思った。

この「JPN TAXI」は、実際なかなか良くできているようで、実際に乗った人の評判も上々のようだ。
残念ながら、管理人TomTomはタクシー自体に乗る機会が少ないので、いまだに乗ったことは無い。

今までのタクシーと言えば、タクシー専用車と言えば聞こえは良いが、市販車ベースだったのは間違いない。
普通のセダンをタクシー向けに仕立てたものだ。
だから、大人数で乗り込むと後席真ん中の人は腹筋の鍛錬になるし、乗り心地も褒められたものではない。

どうして、もっとタクシーとして使いやすいクルマにならないのだろう?と以前から思っていた。
これに答えたのがトヨタだろう。
トヨタのような大きな企業だから、こうした「JPN TAXI」のようなタクシー専用車を作れるのだろうと思う。
ある程度の規模がないと採算に乗らないからだ。
日産もタクシー専用車を世界中で展開しているが、ミニバンベースの市販車ベースであることは間違いない。

一方「Japan Taxi」ってなんだ?

ジャパンタクシーのタクシーアプリ
japantaxi.co.jp

お話しを元に戻そう。
管理人TomTomが今回の発表を見て、「JapanTaxi」とタクシー向けサービス共同開発等の検討に関する基本合意書を締結、というところに引っかかった。
なぜ、自社の製品である「Japan Taxi」と基本合意書を結ぶのだろう?、って思った。

そこで調べてみると「Japan Taxi」というのは、日本交通を母体とするタクシーソリューションを提供している会社なのだ。
トヨタは最近クルマそのものを作ること自体から、「クルマのようなもの」を利用したビジネスへ領域を広げている。
きっと、ハードウェアそのものだけでは成り立っていかない、と感じて積極的に動き出したという事だ。

JPN TAXIとジャパンタクシーのロゴ

これは他の業界では、かなり以前から言われていることで、自動車製造業界もやっとこうした動きが実際に出てきたということだろう。
今までの制度にあぐらをかいたサービスではなく、ウーバーのような隙間とITを駆使したビジネスモデルは大企業からは出てこない。
タクシー向けのそうした新サービスを提供する目的で設立されたのが「Japan Taxi」という会社のようだ。

管理人TomTomが面白いと思うのは「Japan Taxi」では、現在考えられるタクシーが必要とするインフラを、全て提供しようとしていることだ。
ただ中身は二番煎じで、おおっ~と思う目新しいものはないのが残念だと思う。

「Japan Taxi」のWebページからそのサービスを見てみると次のようになる。

  • 全国タクシー
    ユーザがタクシーを呼ぶためのアプリ
    ここが入口になるので非常に重要な部分だ
    さらに隠し味が仕込まれている
  • 乗務員アプリ
    呼ばれた乗務員さんが利用するアプリ
    こちらもタクシーオペレーション上、非常に重要だ
  • 料金検索アプリ
    文字通り、なぜ今まで無かったのかと思う
  • 相乗りタクシー
    昔からタクシーへの相乗りはあるが、これを仕組みとして提供している
  • ドライブレコーダー2
    事故や防犯視点からは現在は必須だろう
  • タクシーメーター
    様々な法律で縛られているタクシーのメーターを便利にした
    ユーザには関係がない
  • マタニティギフト
    タクシーを利用したキャンペーンのようなもの
  • プレタク
    タクシーを広告媒体として有効活用

これも昔から様々な試みがなされている領域

事業者目線なのか?ユーザ目線なのか?

「Japan Taxi」のこうしたサービスを見ると面白いことに気づく。
それは、これらのサービスがユーザ目線ではなく、事業者目線で出来ていることだ。
ユーザ目線ではない。

例えば、全国タクシーと名前がついているタクシーを呼ぶためのアプリを見てみると面白い。
ユーザがタクシーに乗りたいと思うと、このアプリを使ってタクシーを呼ぶ。
ユーザにしてみれば、場所をわざわざ言わなくても良いし、どんなクルマがあと何分で来るのかということが分かる。
ここまではタクシー呼び出しとしては当たり前の内容だ。

こうした機能に加えて、タクシー料金の決済は、アプリに登録したクレジットカードで行うようになっている。
ここがミソで、ウーバーと同じく、クレジットカード決済手数料が事業者に落ちる仕組みとなっている。

この決済に関わるビジネスというのは非常に重要で、今までビジネスモデルとして抜け落ちていた部分ではなかろうか。
ただ、「Japan Taxi」の全国タクシーというアプリの決済主体はどこなのか?、は書いてないので不明だ。
たぶん、導入するタクシー会社の事情により柔軟に対応できるのだろう。

このように見てみると、「Japan Taxi」の提供している製品やソリューションは、決して目新しい内容ではない。
だが、こうして明確にタクシー業界向けにソリューションを打ち出している事業者は無いという状況だろう。
さらに、ユーザにも分かりやすい見せ方をしている。

タクシーでは乗務員さんの機嫌を取る必要がある

管理人TomTomは、残念ながらタクシーにはよい思いがあまりない。
タクシーは、サービス業 かつ 接客業なだけに、乗務員さんに頼る部分が大いにある。

例えば乗り心地だが、乗務員さんの運転技術にかかっている部分が多い。
スムーズで素晴らしい!、という運転をする人もまれにある。
だが大半は、これでプロなのか?と首を傾げる事が多いものだ。
管理人TomTom自身がクルマ好きなだけに余計にそう感じるのだろう。

加えて、怖い思いをしたくないので、乗務員さんとは極力コミュニケーションを取るようにしている。
たわいのない世間話をして、短時間だが良い関係を築くのだ。
そうすることで、かなり安心して乗ることができる。
無愛想で、運転が荒い、タクシーには乗りたくない。

利用する側のユーザが、乗務員さんのご機嫌取りをしなければならないなんて、他ではあり得ない。
その原因は、狭い空間で2人きりになってしまう、という問題だ(乗務員さんも怖い時もあるだろう)。
だからこそ、乗務員さんの質がタクシー利用時の満足度に大いに関わってくる。

ユーザからすればタクシーは選べないというのが最大の問題点だと思う。
例えば、食べログのように評価がついていて、評価3以上の乗務員さんを希望!というようなことはできないだろうか?(料金が高くなってしまうのはゴメンだが)。

我々は面白い時代に生きている

管理人TomTomの個人的な思いとして、自動車というのは自ら運転して自らの意思で動かすもの、という考え方だ。
だから自動運転車は、電車と同じレールの上を走るような感覚、のカテゴリーだと思いたい。
つまり、今までの自動車とはある意味別の乗り物ということと受け取っている。
現在のところ、こうした区別は明確になっていない。

いつの時代でもそう言えるのかもしれないが、現在はクルマに関しての技術やサービスの転換期だろうと思う。
こうした事を考えていると、現在我々は大いに面白い時代に生きていると思う。
それはクルマの意味が確実に広がっていると思うからだ。
車といえば、自らが運転して出かける際のツールだったり、荷物を運ぶツールだったり、さらには愛でる対象だったりした。
だけど、無人の自動運転なんかが出てくると、そうした能動的な自ら運転という部分がなくなったり拡張される。

環境問題が大きな国際的な観点となり、排ガスはクリーンに、燃費は向上した。
このあおりを食ってガソリンスタンドの数が多いに減っているのが体感できる。
特に地方へ出かけると、ガソリンをこの辺りで入れておかないといけないということに気を使うのが当たり前になった。

このガソリン問題は、現在のガソリンスタンドの設置規制等々があるために設備投資が大いにネックになっている。
例えば、灯油はホームセンターの片隅で販売しているように、ガソリンも販売してはどうだろうか?
販売チャネルを増やすことで、ガソリンスタンド数の現象を補完できる。
だが、これはガソリンスタンド潰しにもなってしまうから住み分けを考えなければならないだろう。

いずれ内燃機のクルマがEVへ移行していくと思う。
だが、ポスト内燃機関のクルマはEVだけなのだろうか?といつも思う。
他に有効な手段は無いのだろうか?

新しいポスト内燃機関の動力源を考案すると面白いかもしれない。

今回はこのへんで
では